マイクロナイトⅡ
マイクロナイトはステンレス用の硬化処理です。オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304、316Lなど)は耐食性に優れますが、軟らかいために摩耗やかじり、キズを生じやすい材料です。これらの問題は表面を硬くする、コーティングや窒化処理によって改善できます。
対策と問題点
コーティングではTiN、CrN、DLCといった硬質膜を施すことで耐摩耗性を改善しますが、ステンレス鋼との硬さのギャップが大きいことが問題になります。外部から負荷を受けると下地のステンレス鋼が変形し、それに追従できない硬質膜は剥がれます。一方、ステンレス鋼への窒化処理ですが、これまでは耐食性を犠牲にしなければ耐摩耗性を改善することができませんでした。耐食性はCrの不働態被膜で担保されますが、窒化処理により不働態被膜が形成されなくなり、結果的に耐食性に劣りました。
新技術マイクロナイトⅡ
新たに開発したマイクロナイトⅡは従来の窒化処理とは異なり、耐食性と耐摩耗性を両立した新しいSUS材への窒化処理です。特殊な熱処理と組み合わせることにより,従来の窒化処理と比較して耐食性が大幅に向上しています。また,表面硬度も従来の窒化処理よりも高くなっています。弊社のマイクロディンプル処理(MD処理)を組み合わせること食品粉体などの付着抑制や滑り性の向上も可能です。
適用範囲
・食品、医薬品、化粧品などの包装フィルムやプラスチック製容器の搬送機器部品の摩耗、錆対策
・ガイド、セーラー、エンドカッター、ヒーターバー
評価データ

塩水浸漬試験の結果、マイクロナイトⅡは、窒化処理と比較して耐食性に優れることが認められました。腐食液(10%シュウ酸電解)でエッチングした断面SEM像を見ると、窒化処理の場合、窒化層の腐食が認められますが、マイクロナイトⅡは、素地と比較しても良好な耐食性を示しています。また、硬度分布のグラフより、硬さも通常の窒化処理と比較してより高硬度の表面改質層が形成されていることがわかります。