MD処理のRaって? >

 様々なMD処理の型式がありますが、処理条件などによってその表面状態は千差万別。形成される凹部の深さが違ったり、凸部の形状が丸いか尖っているか、凸部間の距離や傾斜の違い、カバレージ次第で元の表面を残すこともできちゃったり。目的によって、どのMD処理の型式が良いかな?と考えてご提案しています。どの型番が効果を発揮するか、お客様と打合せをさせていただいたりもするのですが、その中で 「このMD処理のRaってどのくらいですか?」 と聞かれることが多くあります。

 

 MD処理表面のRa、もちろんこの位かな?という標準的な値はだいたい決まっているのですが、母材の材質と、元の表面の仕上げ状態によって、その基準から上下することもしばしば。そもそも、今「基準」とか言っていますが、当社で「SUS304の#700研磨面に、通常の投射圧力や投射距離で処理した時」を勝手に「基準」と言っているだけなのです。そう、勝手に。なので、「このMD処理のRaは?」と聞かれると「標準的にはこの位なんですけど、母材によって異なりますし、表面の仕上げ状態にもよってきますし、今回の目的の場合効果を発揮するには投射圧力をちょっと上げて…(くどくどぺらぺら)」と回答するしかなく。場合によっては、なんとも歯切れの悪い、言い訳のような回答に聞こえてしまうかもしれません。

 

 ただ、Raって大事ですよね。図面指示もありますし。指示を見て、経験的にこのMD処理ならイケる~というのはわかるのですが、実際にどうなのか?の確認には、実際のワークと同じ材質・表面仕上げのテストピースにMD処理をして、粗さを測定してみるのがベストです。でも、同じ状態のテストピースを用意できるか?と言ったら、これもそうはいかない場合が多いので、経験則から、実際のワークに処理→粗さ測定をして確認、というフローを繰り返すしかありません。ワークが大きいと、試料台に載らなかったりするので、開発チーム総出でギャーギャー言いながら必死に粗さ測定をすることも。目指すRaが一発で出ていようもんなら、そのワークはもはや我が子です。愛おしい。

 

 MD処理のRa、奥が深い…というかややこしいです。ワーク次第、処理内容次第、ということになってしまうので、なかなか明確な回答ができないことも多くありますが、試作やテストなどウェルカムですので、どうぞお気軽にご相談ください。